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ムラマツフルート 新旧タンポの違い 記録_3

Lastmod: 2020-06-20
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ムラマツフルートのタンポの違い

ムラマツフルートのタンポには「新タンポ」と「旧タンポ」の種類があります。

正確な新旧タンポの判別は、リペアマンによるタンポの取り外しが必須です。(故障の要因になりますので、ご自身で分解して確認することは避けてください。)

  • 新タンポは、「MAパッド」「MAタンポ」「ムラマツタンポ」「ムラマツのオリジナルタンポ」と呼ばれています。(フェルト系ではない素材。ムラマツフルートでは1999年ごろにフェルトパッドを廃止)
  • 旧タンポは、「フィッシュスキン」「スキンタンポ」と呼ばれ、従来のフェルト系の素材です。

タンポ交換の必要な修理には、タンポ仕様の情報は非常に重要で、修理料金も大きく異なってきます。(新タンポ仕様のほうが高い)

新旧のタンポ仕様によってパーツ代は大幅に違います。

単純に、モデル・外観では判別もむずかしいです。

EXモデル(刻印あり)でも、製造時期で混在していることがあります。

M-85やM-120のように、1980年ごろのムラマツフルートは旧タンポ仕様で現在のようにモデルの刻印が無く、その当時は頭部管などにモデルが認識できるシールを貼っていたため、剥がれてモデル不明ということも多いです。

ムラマツフルートの新タンポ

耐久性は、8年から10年ほどです。(個体差・使用頻度・環境などで変動はあります。)

数年前から、新タンポ仕様のモデルは「メーカーのムラマツのみ修理対応」となります。

  • 小売店・販売店・代理店でタンポ交換はできない。ヘッドコルク交換・調整などはメーカー以外でもできることは多いです。

ムラマツフルートの新タンポ外観 画像1

ムラマツフルートの新タンポ 画像2

ムラマツフルートの新タンポ 画像3

ムラマツフルートの新タンポ 画像4

ムラマツフルートの旧タンポ

耐久性は、2年から3年ほどです。(個体差・使用頻度・環境などで変動はあります。)

ムラマツフルートの旧タンポ 画像1

ムラマツフルートの旧タンポ 画像2

ムラマツフルートの旧タンポ 画像3

タンポについて

タンポを取り外して裏側をみると、金属リングの有無で判別しやすいです。

新しい製造時期のモデルは金属リングが無いこともあり、タンポのネジ穴サイズ・ネジ穴から見える素材や断層から判明することもあります。(要分解作業)

メールの画像添付で判別をご相談されることも多いですが「画像だけでは確実な新旧タンポの判別は困難」ですので、最寄りのお店に持ち込み・診察・診断が一番確実です。(リペアマンが常駐されていない場合は判別に時間を要します)

  • 画像で判明しやすいパターンは「タンポが破れて確実にフェルトが使われている場合」になりますので、破れていないタンポは見た目で新旧タンポの確定ができないことになります。

カップ側のネジ・形状などの構造も異なり、旧タンポ構造に新タンポの交換や新タンポ構造へ旧タンポの部分交換などは、タンポの形状も違うため、ムラマツフルートでタンポ交換の必要な修理にはタンポ仕様の正確な情報が非常に重要ポイントです。

補足

診察・診断・お見積もり・アドバイスは無料ですが、遠方の場合は往復送料は必須になり「修理の可否・楽器の情報を知りたいので、とりあえず送ります」というお客様も多いです。(送料を診察料としての考え方)

  • 当店に持ち込みであれば、診察・診断・お見積もり・アドバイスは無料です。

どのお店でも「修理業は実物・現状からの流れが必須」です。

メールやお電話の内容で、経験から目安や予測などはできますが、実物以外では苦手な分野もあるので未確定要素は多くなります。(確定できないのでボヤけたお返事になります)

ご自身の大事な楽器については、製造時期・仕様・情報を知っておくと、修理に関する質疑応答・アドバイスもスムーズになりますね。